2nm半導体の製造を目指すRapidus株式会社は2024年12月11日、米国の大手EDA企業であるCadence Design Systems社(以下Cadence)とAIドリブンのリファレンス・デザイン・フローと幅広いIPポートフォリオの提供で協業することを発表した。同日に米EDA大手のSynopsys社とも協業を発表し、プロセス感度やばらつきの新しいモデル化により設計のサイクルタイムを短縮するソリューションの共同開発を進めることを発表した。

Cadenceとの協業では、開発するAIドリブンのデジタルおよびアナログ/ミックスドシグナル・リファレンス設計フローによって、RapidusはHBM4や224G SerDes、PCI Express 7.0等を含む、ケイデンスのインターフェイスおよびメモリIPコンポーネントの幅広いポートフォリオを使用できるようになり、RapidusのDesign for Manufacturing and Co-Optimization(DMCO)コンセプトに対応した2nm GAA(Gate-All-Around)とBSPDN(Backside-Power-Distribute-Network)の設計および製造ソリューションを活用できるようになるという。

シノプシスとの協業では、シノプシスのAIベースEDAツール群を活用した最先端設計フローを開発し、Rapidusの2nm GAAプロセス対応の幅広いIPポートフォリオを実現させ、設計と製造を同時に最適化し、Design for Manufacturing and Co-Optimization(DMCO)コンセプトを具体化していくという。DCMOコンセプトを取り入れた新しいワークフローでは、これまでIPのキャラクタリゼーションを行うために2~3ヶ月の期間を必要としていたものが、より短縮することが可能になるという。

Rapidusの小池 淳義 代表取締役社長は、Synopsysとの提携について

「Synopsysとのパートナーシップは、設計プロセスを簡素化し、迅速化するための重要なマイルストーンです。Rupidusの目指すRUMSでは、前工程に完全枚葉式を採用します。これにより取得可能となる膨大なデータは、シノプシスのAIベースのEDAフローとIPとの親和性が非常に高く、Rapidusが目指すどこよりも速い短TAT製造がまた一歩前進することになると確信しています」

Cadenceとの提携については

「2nm 裏面電源供給(BSPDN)技術におけるCadenceとの連携により、当社は業界の最前線に立つこととなり、半導体デバイスの性能と効率で大きな飛躍を遂げることとなるでしょう。両社の専門性を組み合わせることで、業界の新たな技術標準を確立することになり、両社の顧客と業界に対して革新的なソリューションを生み出すことができることを嬉しく思います」

と述べている。

Rapidusでは顧客提供価値として設計支援と、前工程・後工程を一貫して行うことでカスタマーにとってのtime-to-marketの短縮を実現するRapid and Unified Manufacturing Service(RUMS)の構築を目指しており、DMCOによる設計支援を今後もさらに充実させていくとしている。